なぜ壊れたカードが刷られるのか

Ⅰ はじめに
(本記事はふるよに Advent Calendar 2022 – Adventarの参加記事です)

僕が好きなだけで決して壊れていません

 なぜ壊れたカードが刷られるのでしょうか。小学生以来、カードゲームをそこそこ遊んできた身としては不思議でなりませんでした。

 しかし、4年ほど前よりLCG「桜降る代に決闘を」(※)シリーズのバランス調整に有志として携わるようになり、壊れたカードを刷る側に回る貴重な体験を得て、考えを変えるに至りました。

 残念ながら、人類にカードゲームの完璧なバランス調整は不可能なのです。人類Ⅲぐらいになれば可能になるかもしれませんが、少なくとも現生人類には実現不可能です。そして、バランス調整に失敗した部分が顕在化する一つの形が「壊れたカード」としてプレイヤーの皆様に襲い掛かるわけです。

 自分はあくまで同人レベルのゲームのバランス調整に協力させていただいた程度の身で、プロとして活動されているレベルデザイナーには技量・経験とも遠く及びません。ですが、一般プレイヤーよりかは感じてきたことがあるかとも思いますので、アドベントカレンダーという機会にまとめてみたものが、本記事になります。

※LCG(買切型のカードゲーム)作品。事前に選択したカードプール内から、対戦相手のカードプールを確認後にデッキ構築を行ってから対戦を行うルールが最大の特徴。山札概ね6枚を毎ターン2ドローすることもありカードゲームとしては運要素が最小化されていて大変面白い。今すぐ始めよう。
新幕 桜降る代に決闘を

Ⅱ バランス調整は必ず失敗する

 流通するカードゲームにおいて、バランス調整において行われる研究量は必ず一般発売後の研究量を下回る。当然のことである。

 そのため、バランス調整では調整対象のカードパワー(≒一般発売後の暴れ具合)をどれだけ誤差なく見積もれるかという作業になる。

 ここで難しいのが、カードの強さはそのカードのテキストだけではなく、他のカードとの相性などにも左右されることだ。他のカードやゲームシステムの変更がテキストを据え置いているカードに及ぼす影響は概して見積もりづらく、さらにそれをすべて調べる工数は無いことが多い。

りそうのばらんすちょうせい

 何も起こらなければ、最悪想定の上限値を叩いても「強いカード」どまり、めでたしめでたしとなる。

 しかし、当然破綻するパターンがある。以下3つが壊れカードが刷れるベスト(?)プラクティスである。

①想定がそもそもおかしい

 はい。私は現生人類なので。真っ先に思いつく理由であり、当然発生する。

 今までにないメカニズムを実装した結果、テストプレイヤーがそれを生かし切るためのプレイングを発見できていなかった場合が多い。

 他にも強力すぎたカードにナーフを繰り返したことで、往時より大幅に劣る威力にすっかり意気消沈していたが、よく考えるとまだめちゃくちゃ強かった(誤差棒の上方向を低く見積もっている)パターンなどもある。

 自分はカードゲームの壊れカードの90%ぐらいこれなのではないかと自分でやり始める前は思っていたのだが、体感意外と少ない。なぜならば、テストプレイヤーも必死にテストしているからである。いやほんとに。

すまん、見落とした

②なんか上振れた

 なんかってなんだよ。パターンとしては

  1. 弱い想定だったメカニズムを強化した結果、関係カードが壊れる
  2. そのカードを抑制する存在が調整環境に存在したため見過ごされていたが、抑制が外れてしまったため大暴れ
  3. あずかり知らぬところで超絶コンボ爆誕

 などがあげられる。実際に調整で発見しきれず全てが世に出るわけではないもの、調整中に発見されつぶされるパターンも多い。

 これを0にしようとすると、テストプレイヤーが全ての相互作用に気がつける程度の複雑性がゲームの限界になるため、どうしても0にはできない。

わりとありがち

③時間がなかった

 非常に人間的かつありがちなパターン。もちろん、初めから時間がなかったわけではなく、調整中の変更などにより十分な時間が取れない場合がある。

 特に、調整中盤以降になってから弱すぎるメカニズムを救うために強めのカードを供給しようとした結果、上限を叩いてしまい爆散というケースが多い。

むしろ正確に見積もれているので、優秀なテストプレイヤーかもしれない。

Ⅲ 「壊れたカードが刷られる」のはよりマシな未来だから

 壊れたカードを最小限に抑える有効な手段には以下がある

  1. 複雑な挙動・相互関係を減らす
  2. カードパワーを平均化し、強いカード(軸になるカード)を作らない
  3. 迷ったら弱い方向に倒す

 つまり、単純で似たようなカードをデザインし、安全にカードを制作すればいいのだ。失礼しました、クソゲーができてしまいました。

 1と2に関してはゲーム性への寄与を考慮してのリスクリターン評価をしてくれとしか言えないが、問題は3である。これがレベルデザインで最も危険な思想なのではないかとすら思うに至った。

 第一弾以降の、既存の環境にカードを追加していくタイミングにおいて弱い方向に倒すという手段は非常に安心安全無農薬有機栽培となる。狙ったパワーに収まったカードはそこそこ使われるし、弱かったカードは使われず、環境に影響を与えない。

 これはいいように見えて、環境への変動が少なくなりすぎる。十分環境が動くほどパワーバランスが適切なカードを供給できるならいいが、通常そんなリソースはないし、そこまでリソースがあるなら弱い方向倒さなくてもいいはずだ。

 上記1~3をすべてやらない場合、現実世界と同じ確率で壊れたカードが刷られることがあるが、致しかたないのではないだろうかと思う。

 通常カードゲームには禁止や制限などの刷ってしまった壊れたカードを環境から排除する手段を持ち合わせる。一方で、弱すぎたカードはエラッタなどプレイヤーに負担が大きい方法などでしか救えない。この点も失敗を「壊れたカードが刷られる」結果を許容することにつながる。

Ⅳ……と思うのは自分がLCG畑だからかもしれない

 LCGが性質上、全カードをプレイヤーが持っている前提で考えられる。ここに壊れたカードがあることで環境が悪化している場合、それを禁止することで環境が改善すれば全プレイヤーがもともと遊べたゲームが、より楽しいゲームとなるため基本的に全員が幸せになれる(好きなカードが禁止される、競技大会までに行っていた研究が無に帰すなどマイナスもある)。

 一方で、TCGとなってくると、二次流通市場の存在や概ね高額になる壊れたカードを買ったプレイヤーの資産的な問題などが入ってくるため、LCGほど容易ではないのだろう。

 自分は紆余曲折の末、振る代にの禁止カード指定に関わる立場になってしまったが、生活がかかっていない立ち位置ですら禁止カードを出すのは心苦しいものがある。

Ⅴおわりに

 最近趣味で文章を書く機会がないから何か書いてみるか、と軽い気持ちでアドベントカレンダーに申し込んでみたはいいもの、12月に入ってから私事で全く時間が取れなくなってしまいました。推敲および校正が全然できていないので、お見苦しい点ございましたらご容赦ください。

 今後も降る代にを皆様に楽しんでいただけるよう、一個人として支えて行こうと思っております。ミコトの皆様も是非、今後も降る代にを楽しんでいただければ報われる思いです。

ジャッジ試験・解答&解説

ジャッジ試験の問題は

https://rovere.hatenablog.com/entry/2019/04/01/224009

です。未受験の方は受けてからのほうが楽しいかもしれませんし、楽しくないかもしれません。

なおかよボドでの最高得点は91点、BakaFireさんは85点でした。80点を超えれば相当優秀といえるでしょう。ちなみに私は作問前に解けたであろう問題は40点分程度です。

別解を見つけた、問題がおかしいなどにお気づきの方は@rovere_Tまでお願いします。

解説協力:ロキルス

解答

問1 1問2点

(1) ×

(2) ×

(3) 〇

(4) ×

(5) 〇

(6) ×

(7) ×

(8) ×

(9) ×

(10) 〇

問2 1問4点

(1)〇

(2)×

(3)〇

(4)〇

(5)〇

(6)×

(7)〇

(8)〇

(9)×

(10)〇

 問3 1問5点

(1)二重奏:弾奏氷瞑を使用したため。(他にも相手の「大山脈リスペクト」「鳶影」などから「遠心撃」など)

(2)Aが「円月」を使用し、Bが「叛旗の纏毒」を展開中のとき、「氷の音」によって灰燼が達成され「円月」が-/2のダメージになったため。

(3)Aの終了フェイズに「びっぐごーれむ」の効果で設置攻撃を行い、Bの「終末」の破棄時効果で手札を伏せる処理が行われなかったため。

(4)Shield Charge

(5)カード名

 問4 1問5点、ただし(1)は1柱ごとに1点、完答で2点の合計5点

(1)Aのメガミ クルル + ユリナorオボロorチカゲ

(1)Bのメガミ サイネ + シンラ

(2)Aが機巧として赤2つ以上と緑2つを持っており、隙を持つ付与を展開している。また、Bは「無音壁」と「森羅判証」を展開している。

(3)「とるねーど」の効果によりBはオーラ5ダメージを受け、これにより「無音壁」が破棄された。「森羅判証」の効果によりAが1ダメージを受け、隙を持つ付与が伏せ札となり機巧緑緑を満たさなくなった。この時「とるねーど」のライフ1ダメージを与える効果は解決されない。

解説

問1 

(1)Aがライフ4の時に「一閃」を使用した。これに「天地反駁」を展開中のBが対応で「反論」を使用した。この時、「一閃」は3/2となり、「反論」で打ち消されない。

「反論」のダメージが先に解決され、Aのライフが3となる。「反論」の【攻撃後】効果解決時には「一閃」は【常時】効果で3/2となるため「反論」で打ち消される。よって×。

(2)Aが「フルバースト」を使用した。「無音壁」を展開中でオーラが2つのBは、オーラ2つをダストに送り、無音壁からはダストに送らなかった。

「無音壁」はテキストで「ダメージを解決するに際し~扱う。」とあり、オーラとして扱うことは強制である。よって、フルバーストのダメージ解決時にオーラだけでなく最低1つを無音壁からダストに送ることが必要となる。よって×。

二幕では「無音壁」上の結晶をオーラで扱うことは任意であったため、同一ケースでもダストに送らずにすんでいた。

 (3)畏縮状態のAが「常世ノ月」を使用したとき、Aの集中力は2となり、畏縮状態のままである。

「畏縮」は総合ルール5-1-4に「畏縮状態であるプレイヤーが集中力を得る場合、集中力を得る代わりに畏縮状 態でなくなる」とある。常世の月の効果は「あなたの集中力は2になり~」で、「集中力を得る」処理ではなく現在の集中力を置換する効果である。このため畏縮したまま集中2となる。よって〇。

(4)Aは再構成時に設置で「鋼糸」を使用し、Bは「無音壁」上の結晶2つでダメージを受けた。このターンにAが「斬撃乱舞」を使用したとき、ダメージは3/2である。

「無音壁」は「オーラにあるかのように扱う」であり、オーラでダメージを受けたものとして扱われる。そのためBは「鋼糸」で「オーラへのダメージを受けている」状態にあるため「斬撃乱舞」は【常時】効果で4/3となる。よって×。

 (5)チカゲを宿しているAが「詭弁」の鬼謀効果でチカゲを宿しているBの「毒霧」を使用した。このときAはAの毒袋から毒カードをBの手札に加える。

「毒霧」で参照する領域、毒袋は7-3-1でプレイヤーに紐づけられている。また、10-12で領域の保有者が省略されている場合は、カードの使用者の物を参照するとされているため、「毒霧」を使用したAの毒袋を参照する。よって〇。

なお、かよボド実施時は問題文の「詭弁」が「引用」となっていたため、そもそも「毒霧」が使用できないため答えは×である。申し訳ない。

(6)Aがライフが1の時に再構成を選択した場合、設置を使用する前に敗北する。

3-2により設置は「あなたが山札の再構成を行うならば、その直前に設置を持つカードを1枚だけ伏せ札から使用 してもよい。」を意味する。9-7より再構成によるダメージを受けるのは再構成の処理開始時であるため、Aは敗北前に設置を使用できる。よって×。

 (7)Aが「引用」で傘を閉じているBの「しこみび/ねこだまし」を使用した。「しこみび/ねこだまし」の解決後、Bの傘が開閉し、Bは「かさまわし」をその効果で公開することができる。

4-3より、「傘の開閉を行う」とは「あるプレイヤーが自分の情報のうち、傘が閉じているか開いているかどうかを、 もう一方の状態に変化させることを指す」である。この場合、「しこみび/ねこだまし」を使用したAの傘を開閉させることになるのでBの傘は開閉せず、「かさまわし」の効果は使用できない。よって×。

 (8)Aが「鳶影」で「もじゅるー」を使用した。「鳶影」の解決後、Aは「もじゅるー」の効果で基本動作を行える。

「もじゅるー」は「使用した時」を参照するが、「鳶影」を使用した時に「もじゅるー」は展開されていない。そのため基本動作を行えない。よって×。

(9)「生体活性」や「風魔纏廻」、マシンに造花結晶があるときの「Julia's BlackBox」を使用するなどで切札が未使用に戻った時、「どれーんでびる」が使用済みである場合【使用済】効果を使用できる。

「どれーんでびる」の【使用済】効果は「使用済の切札が未使用に戻った時」に誘発する。一方で「Julia’s BlackBox」はその効果で未使用に戻るため、「使用済」領域を経由することなく「使用中」領域から「未使用」へと移動する。そのため「どれーんでびる」を使用できない。よって×。

(10)Aは開始フェイズに再構成を選択し、設置で「鋼糸」を使用した。これによりBの「終末」が破棄されたとき、Aは再構成によるライフダメージを受けず、デッキを再構成できず、カードを引けない。

設置は再構成の処理開始前に使用でき、それによって「終末」が破棄される場合、開始フェイズの残りの処理を行わずにメインフェイズへと移行する。そのため再構成によるライフダメージおよび捨て札・伏せ札を新たな山札にする処理、カードのドローが行われない。よって〇。

 

問2

作問時点では解答が「諸説」であった問題があった((9)など)が、ロキじゃに検閲を受けた際に裁定を出されてしまったため結果としてトラップとなった。

(1)「いんだすとりあ」に「りげいなー」を封印しており、「びっぐごーれむ」が使用済みのAが「でゅーぷりぎあ」を使用して「千歳ノ鳥」を使用した。「千歳ノ鳥」の【攻撃後】効果の解決後、「いんだすとりあ」が再起し、「でゅーぷりぎあ」は効果をうしなうためAの集中力は0にならない。

「6-2-1-7 テキスト」より一つのカードが複数の効果を持つ場合、上に書かれた順に解決される。「りげいなー」の複製である「でゅーぷりぎあ」は歯車枠に記載された効果の解決後に「あなたの集中力は0になる。」の効果が解決される。

問題の場合、歯車枠の効果解決中に「いんだすとりあ」が再起し、「でゅーぷりぎあ」はテキストを全て失う。そのため効果解決前であった「あなたの集中力は0になる。」の部分は解決されない。よって〇。
(2)Aは再構成時に設置で「鋼糸」を使用し、Bは「浦浪嵐」で対応してオーラダメージを選択した。このターンにAが「斬撃乱舞」を使用したとき、ダメージは3/2である。

6-4-1-2より「オーラへのダメージ」の最小値は0である。よって、Bはこのターンにオーラへの0ダメージを受けているため「斬撃乱舞」は4/3となる。よって×。

(3)傘を開いていて「どろりうら」を展開しているAが間合4で「ふりまわし/つきさし」を使用した。これにBが対応で「鳶影」から「刈り取り」を使用し、その【攻撃後】効果でAの「どろりうら」が破棄された。このとき「ふりまわし/つきさし」のダメージは解決される。

9-2-1より、攻撃カードを使用した場合、<攻撃中>に《攻撃》が生成されるが、適性距離はカードの持つ情報と同一のものとなる。《攻撃》生成後に「どろりうら」が破棄された場合でもすでに生成された《攻撃》には影響を与えないため、結果として適正間合0-2,4-6の「つきさし」が解決されるため、ダメージが発生する。よって〇。

(4)Aが間合2で「大山脈リスペクト」を使用し、「流転爪」と「風雷撃」を選択した。「流転爪」を先に解決し、その【攻撃後】効果により「風雷撃」が山札の上に置かれた場合、「風雷撃」は「大山脈リスペクト」の効果で選択されていても解決されない。

https://main-bakafire.ssl-lolipop.jp/furuyoni/na/faq.html#m08

FAQ「大山脈リスペクト」より

捨て札にあるカードではなくなっているため使用不能。よって〇。

(5)「もじゅるー」を展開しているAが「律動弧戟」を使用した。これにBが対応で「鳶影」から「刈り取り」を使用し、その【攻撃後】効果でAの「もじゅるー」が破棄された。このときAは「律動弧戟」の解決後に「もじゅるー」効果による基本動作を行えない。

「もじゅるー」は「使用した時」を参照する。「律動弧戟」使用時には「もじゅるー」が存在するため「律動弧戟」の解決後に基本動作を行うことができる。よって〇。

かよボドで配布した解答では×となっているが、誤植である。さーやせんでした。

(6)Aが「いんだすとりあ」に「風雷撃」を封印しており、風ゲージが4あり、「いんだすとりあ」が未使用のとき、Aは「風雷の知恵」で捨て札にある「でゅーぷりぎあ」を山札の上に置くことはできない。

6-2-1-4より、カードの使用者(※ルール用語、そのカードを持っているメガミのこと)はメガミリストを参照する。どのカードの複製にもなっていない「でゅーぷりぎあ」はクルルのリストに記載されているためクルルのカードとして扱うため、「風雷の知恵」で山札の上に置くことができる。よって×。

(7)ダストが0のとき、オーラが0のAが「分身の術」で「生体活性」を使用し、即座に破棄された「生体活性」の破棄時効果で使用済みだった「びっぐごーれむ」を未使用に戻した。この時Aは「分身の術」の解決後に「びっぐごーれむ」の効果による基本動作を行える。

「びっぐごーれむ」は「使用した時」を参照する。「分身の術」使用時には「びっぐごーれむ」が使用済であるため、「分身の術」解決後に基本動作を行うことができる。よって〇。

(8)「鋼糸」と「誘導」が捨て札にあるAはBの「斬」に「鳶影」で対応し、「りふれくた」を展開した。このときBの「斬」がこのターン2回目の攻撃である場合、「りふれくた」の効果により打ち消される。

対応によって「りふれくた」が付与札として置かれた状態になるため、その時点で【展開中】効果が有効となる。そのため2回目の《攻撃》である「斬」が打ち消される。よって〇。

対応で「叛旗の纏毒」を使用した場合と同じと考えればよい。

(9)傘カードを持たないAの「いんだすとりあ」に「ふりはらい/たぐりよせ」が封印されているとき、Aは「いんだすとりあ」が使用済みであるときは常に「でゅーぷりぎあ」を傘が閉じているものとして使用する。

4-2-1より、「傘アイコンを持つカードを参照するとき、その保有者であるプレイヤーの傘の開閉状態が参照される。」ため、Aの「でゅーぷりぎあ」も保有者の傘を参照する。また、カードの複製になる場合、10-16より「それが複製不可な情報でなければ、代わりに複製元のカードの持つ情報を参照する」である。「でゅーぷりぎあ」が複製になっている「ふりはらい/たぐりよせ」の保有者はAの対戦相手であるため、常にAの対戦相手の傘を参照する。よって×。

(10)Aの攻撃に対し、Bは「鳶影」で対応した。この時、伏せ札にある「くるるーん」は「鳶影」の効果によって使用することはできない。

「鳶影」はその効果で使用したカードを「対応しているものとして扱う」だけであり、「くるるーん」は「対応でしか使用できない」ため、そもそも使用できない。よって〇。

 

問3

(1)Aが「神渉装置:絡式」を使用したが、取り除かれなかった。理由として考えられること1つを述べよ。

「神渉装置:絡式」の解決中にフェイズを終了することで取り除く効果を解決しないことを利用する。

対戦相手の「弾奏氷瞑」を使用するのが最も簡単であるが、「神渉装置:絡式」の解決終了前に「遠心撃」か「終末」の効果でフェイズを終了させることができるなら別解として正解である。

(2)Aの攻撃にBは対応で「氷の音」を使用した。Bが「氷の音」を使用しない場合はAの攻撃は打ち消されなかったが、Bが「氷の音」を使用した場合打ち消された。理由として考えられること1つを述べよ。

対応で「氷の音」を使用した結果として何が起こるかを考えよう。オーラが減る、ダストが増えることで変化する攻撃を考えれば答えにたどり着けるのではないだろうか。

「もじゅるー」の効果により基本動作を行って間合不適正とするのは不正解。9-3ⅲより、「攻撃は失敗となり、その 《攻撃》を<攻撃中>から取り除く。」ことになる。この処理を打ち消しで行うと「打消不可」を持つ攻撃がステップ対応で消えなくなる。新幕では関係ないが二幕「鐘鳴らし」などでは影響が出る。

(3)サリヤを宿していないAはBのターン開始時に手札が4枚あった。理由として考えられること1つ述べよ。ただしAの手札に毒カードはないものとする。

8-3より「終了フェイズに~」と記述された効果は手札を2枚になるように伏せる処理より先に行われるため、ここでフェイズを終了すればよい。

(4)Aは攻撃札を使用しBは対応をしなかった。X/Yのダメージを受けたBはオーラダメージを選択したが、Bのオーラは減少しなかった。ただしX、Yは1以上の自然数であり、加減などを経た最終ダメージである。また、付与札は展開されていないものとする。Aが使用した攻撃札を答えよ。

7-1-1により、間合には桜花結晶が10個までしか存在できない。また、間合-1トークンは間合の桜花結晶に紐づけられているだけであり、間合-1トークンが置かれている桜花結晶も間合にある桜花結晶の上限にカウントする。

そのため、間合に9個の間合-1トークンと1個の桜花結晶が存在する場合に「Shield Charge」を使用すると間合にこれ以上桜花結晶が存在できないためオーラから移動することがない。クルル・サリヤのミラーマッチなどで理論上可能。

BのオーラでAが「フルバースト」「クリムゾンゼロ」を使用する場合、Bは9-4ⅰによりオーラダメージを選択できないため不正解。

(5)「薙斬り」の複製となっている「でゅーぷりぎあ」と「薙斬り」で異なるカード情報は何か。

「でゅーぷりぎあ」のカードを読めばそのまま書いてあるためそのまんまである。正解率は相当高いのでは。

問4 Aが「とるねーど」を機巧条件が共に満たされた状態で使用し、その解決中に機巧条件の一部が満たされなくなった。この時以下の問いに答えよ。

本テスト屈指の良問(自称)。相手にオーラ5ダメージを与えるかライフ1ダメージを与えることで機巧が崩れる条件を考える。

オーラダメージを与えることで誘発するカードを考えるのだが、解答のキーである「無音壁」からさらに「森羅判証」を組み合わせないといけないので発想力が問われる。普段シンラを使っているかどうかで正答率が変わりそうな一問。

時間制限30分をつけたのはこれを無尽蔵に時間をかけて考えられないようにするためである。



ジャッジ試験・問題

3月31日の全国お疲れボードゲーム会で実施した「非公認ジャッジ試験」なるものの問題を掲載します。

試験中、通常の桜花決闘で閲覧が認められているもの(カード、公式サイトのカードリスト含む)及び公式サイトの総合ルールが閲覧できます。カードテキストの確認ができないとまず解けないので手元に用意してから受験してください。

また、全ての問題は新幕の通常の決闘で発生しうる状況のみを考慮してください。

制限時間は30分です。

31日に実際に持ち込んだものと一部問題が異なります。

問1(5)、問2(8)は問題がバグっていたため修正、問3(3)は毒カードを見落としていたため簡単になっていたのを修正しました。

解答・解説は4月5日に当ブログで発表します。

制作者:ローヴェレ 製作協力:エンデ一族(ロキルス、エンデ、のわ、771、えりん)

 

問1 以下の文章が正しいときは〇、誤っているときは×と記入せよ(2点×10)

(1)Aがライフ4の時に「一閃」を使用した。これに「天地反駁」を展開中のBが対応で「反論」を使用した。この時、「一閃」は3/2となり、「反論」で打ち消されない。

(2)Aが「フルバースト」を使用した。「無音壁」を展開中でオーラが2つのBは、オーラ2つをダストに送り、無音壁からはダストに送らなかった。

(3)畏縮状態のAが「常世ノ月」を使用したとき、Aの集中力は2となり、畏縮状態のままである。

(4)Aは再構成時に設置で「鋼糸」を使用し、Bは「無音壁」上の結晶2つでダメージを受けた。このターンにAが「斬撃乱舞」を使用したとき、ダメージは3/2である。

(5)チカゲを宿しているAが「詭弁」の鬼謀効果でチカゲを宿しているBの「毒霧」を使用した。このときAはAの毒袋から毒カードをBの手札に加える。

(6)Aがライフが1の時に再構成を選択した場合、設置を使用する前に敗北する。

(7)Aが「引用」で傘を閉じているBの「しこみび/ねこだまし」を使用した。「しこみび/ねこだまし」の解決後、Bの傘が開閉し、Bは「かさまわし」をその効果で公開することができる。

(8)Aが「鳶影」で「もじゅるー」を使用した。「鳶影」の解決後、Aは「もじゅるー」の効果で基本動作を行える。

(9)「生体活性」や「風魔纏廻」、マシンに造花結晶があるときの「Julia's BlackBox」を使用するなどで切札が未使用に戻った時、「どれーんでびる」が使用済みである場合【使用済】効果を使用できる。

 (10)Aは開始フェイズに再構成を選択し、設置で「鋼糸」を使用した。これによりBの「終末」が破棄されたとき、Aは再構成によるライフダメージを受けず、デッキを再構成できず、カードを引けない。

 

問2 以下の文章が正しいときは〇、誤っているときは×、未裁定の時は「諸説」と記入せよ(4点)

(1)「いんだすとりあ」に「りげいなー」を封印しており、「びっぐごーれむ」が使用済みのAが「でゅーぷりぎあ」を使用して「千歳ノ鳥」を使用した。「千歳ノ鳥」の【攻撃後】効果の解決後、「いんだすとりあ」が再起し、「でゅーぷりぎあ」は効果をうしなうためAの集中力は0にならない。

(2)Aは再構成時に設置で「鋼糸」を使用し、Bは「浦浪嵐」で対応してオーラダメージを選択した。このターンにAが「斬撃乱舞」を使用したとき、ダメージは3/2である。

(3)傘を開いていて「どろりうら」を展開しているAが間合4で「ふりまわし/つきさし」を使用した。これにBが対応で「鳶影」から「刈り取り」を使用し、その【攻撃後】効果でAの「どろりうら」が破棄された。このとき「ふりまわし/つきさし」のダメージは解決される。

(4)Aが間合2で「大山脈リスペクト」を使用し、「流転爪」と「風雷撃」を選択した。「流転爪」を先に解決し、その【攻撃後】効果により「風雷撃」が山札の上に置かれた場合、「風雷撃」は「大山脈リスペクト」の効果で選択されていても解決されない。

(5)「もじゅるー」を展開しているAが「律動弧戟」を使用した。これにBが対応で「鳶影」から「刈り取り」を使用し、その【攻撃後】効果でAの「もじゅるー」が破棄された。このときAは「律動弧戟」の解決後に「もじゅるー」効果による基本動作を行えない。

(6)Aが「いんだすとりあ」に「風雷撃」を封印しており、風ゲージが4あり、「いんだすとりあ」が未使用のとき、Aは「風雷の知恵」で捨て札にある「でゅーぷりぎあ」を山札の上に置くことはできない。

(7)ダストが0のとき、オーラが0のAが「分身の術」で「生体活性」を使用し、即座に破棄された「生体活性」の破棄時効果で使用済みだった「びっぐごーれむ」を未使用に戻した。この時Aは「分身の術」の解決後に「びっぐごーれむ」の効果による基本動作を行える。

(8)「鋼糸」と「誘導」が捨て札にあるAはBの「斬」に「鳶影」で対応し、「りふれくた」を展開した。このときBの「斬」がこのターン2回目の攻撃である場合、「りふれくた」の効果により打ち消される。

(9)傘カードを持たないAの「いんだすとりあ」に「ふりはらい/たぐりよせ」が封印されているとき、Aは「いんだすとりあ」が使用済みであるときは常に「でゅーぷりぎあ」を傘が閉じているものとして使用する。

(10)Aの攻撃に対し、Bは「鳶影」で対応した。この時、伏せ札にある「くるるーん」は「鳶影」の効果によって使用することはできない。

 

問3 指定されたものを書け(5点)

(1)Aが「神渉装置:絡式」を使用したが、取り除かれなかった。理由として考えられること1つを述べよ。

(2)Aの攻撃にBは対応で「氷の音」を使用した。Bが「氷の音」を使用しない場合はAの攻撃は打ち消されなかったが、Bが「氷の音」を使用した場合打ち消された。理由として考えられること1つを述べよ。

(3)サリヤを宿していないAはBのターン開始時に手札が4枚あった。理由として考えられること1つ述べよ。ただしAの手札に毒カードはないものとする。

(4)Aは攻撃札を使用しBは対応をしなかった。X/Yのダメージを受けたBはオーラダメージを選択したが、Bのオーラは減少しなかった。ただしX、Yは1以上の自然数であり、加減などを経た最終ダメージである。また、付与札は展開されていないものとする。Aが使用した攻撃札を答えよ。

(5)「薙斬り」の複製となっている「でゅーぷりぎあ」と「薙斬り」で異なるカード情報は何か。

 

問4 Aが「とるねーど」を機巧条件が共に満たされた状態で使用し、その解決中に機巧条件の一部が満たされなくなった。この時以下の問いに答えよ。

(1)発生した時のメガミの組み合わせを一つ答えよ。ただしBはAの対戦相手である。任意のメガミでよい場合は「任意のメガミ」と書いてよい。(Aの宿すクルル以外のメガミ1柱につき1点×3、3柱完答で追加2点)

(2)「とるねーど」使用時の状況を記述せよ。(5点)

(3)「とるねーど」の効果の解決を記述せよ。(5点)